FRBバランスシートの縮小とは。

ここ最近話題になり始めている、FRBのバランスシート縮小に関して簡単に説明をしておきます。

まずバランスシート縮小とは、FRBの国債や債券などの保有資産の量を減らす、っという意味です。

リーマンショック後、大規模な量的緩和(QE)を実施してきた結果、現在のFRBの保有証券は4.5兆ドルに上るとされております。

そしてその内の米国債が2兆ドル以上あるので、FRBの保有証券の半分近くが米国債というわけです。

現在のFRBの資産買い入れ状況は、QEは止めたものの、償還期限のきた債券を再投資する形が取られておりました。

 

⇒【後報】 FRB 9月のFOMCでバランスシート縮小開始を発表!
2017年10月から開始へ。(2017.9.22更新)

 

いわゆる、この再投資を辞めていくことになるでしょう。

これだけでピンときた方なら、問題はありませんが、わからないという方へ、結論から申し上げます。

 

FRBのバランスシート縮小行動は、米国債への再投資がないため、債券の価格が上昇する可能性が低くなります。

 

よって、長期金利の上昇ポテンシャルを秘めております。

 

⇒答えは、ドル高です。

 

ここだけの部分をみると、中期的にはかなりのドル高要素になります。

 

以下、詳細を説明していきます。

 

その前に長期金利の上昇長期米国債の上昇、ドル円の上昇するのか?下落するのか?

すぐに答えられない方は、先にこちらの記事を読むことをおすすめ致します。↓

【長期金利の上昇・下落がドル円上昇・下落になるわけ】

※長期金利の上昇や国債の下落など為替にどのように影響を与えるか理解した上でないと、バランスシート縮小の意味を理解できないため。

 

4年以内に償還期限を迎える米国債は1.2兆ドル!?

先日、ロイターのコラムに野村総合研究所の井上さんが書かれていた記事に詳細ありました。

その記事によると、あと4年以内に償還期限を迎える国債が1.2兆ドルほどあるそうです。

ですので、FRBの国債が向こう4年間で60%が減ります。そして、保有資産が25%程縮小できるという訳です。

調べて見ましたら、特に2018年以降から償還期限を迎える債券が多くあるようです。

リーマンショック後に量的緩和の実施した最初の頃の債券償還が始まるからでしょう。

 

■バランスシートを縮小すると株や為替の影響は?

さて、バランスシートを縮小させるとどうなるでしょうか?

まず単純に国債の買い入れがなくなるので、長期金利が上昇します。

長期的に30年間も下落している長期金利市場です。(米国債が上昇し続けている意味。)長期金利は下落をしきっており、特にリーマンショック後からはさらに長期金利は下落したため、ここの下落分を取り戻しにいくような値動きになるかもしれません。

ですので単純に長期金利の上昇が考えられます。

では米国の長期金利が上昇しますとどうなるでしょうか? もちろん米ドル高になります。

今回最も難題となりつつあるのが、政策金利引き上げバランスシート縮小をダブルパンチで実施すると金融市場はどうなるかでしょう。

2014年9月のFOMCでは、政策金利をしっかりと引き上げた後からバランスシートを縮小する行動にでる、っと結論付けていたため、現在の政策金利1.0%の米国にとって、バランスシート縮小論はかなり時期尚早だと思われます。

2013年5月、ジャクソンホールにて、にバーナンキ議長が講演で量的緩和の出口戦略について言及し、テーパリング観測となり、急激にドル円が下落し続けたことを覚えております。(ドル買い材料なのに。)

今回もおそらくですが、バランスシート縮小のキーワードに金融市場にショックを与えないための地ならし行動だと思われます。

個人的な憶測ですが、バランスシート縮小開始議論を市場に準備させて、結局はバランスシート縮小延期というパターンが濃厚だと思われます。

しかし、近い将来、そういった行動に移る可能性を高めさせようといった魂胆があるのではないかと考えております。

っともあれ、しばしの間は利上げ+バランスシート縮小議論が活発化し、材料視されるのではないでしょうか。

バランスシートが縮小するということは、MBS(住宅ローン債権)への再投資もなくなりますから、利上げ+再投資なしですと、住宅ローンの返済金利も急激に上昇してしまいます。ここが最も恐れる点です。

先日のFOMC議事録では、株価の過熱感に懸念する内容+バランスシート縮小議論になったことを受けて、ダウが急落しました。

ここ何年もFRBのバランスシート拡大=米国株高が絶妙な相関関係だったからでしょう。

この逆の現象が起こるので、2017年4月5日のダウ日足もドル円日足も急落したのもうなずけます。

 

■バランスシート縮小からの影響 まとめ

よって、中長期的にみれば、明らかにドル高要因なのですが、米国株式市場にとって、本当に大丈夫なのか?っといったネガティブ材料に受け取られる可能性があります。

その場合、ダウ平均下落の影響を受けて、日経平均下落、ドル円下落する構図になるかもしれません。

この場合、バランスシート縮小=ドル高っというシンプルな式で、米ドル買いを仕掛けていた投資家が一斉に逃げだしますので、最終的にリスクオフになる可能性も比較的高いことを考慮した上でトレードして頂ければと思います。

今一度申し上げますが、波及される懸念材料は「政策金利引き上げ+バランスシート縮小」の影響が最も危険な材料となる可能性があるのは世界の債券市場です。

ドル高要因の反面、市場のバランスを崩した場合リスクオフと非常に難しい局面になりつつありますが、これを念頭においておくだけで投資戦略に大きく違いが生まれるでしょう。

是非、日々のトレードの賭け引き材料として使って頂ければと思います。

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