FRBバランスシート縮小決定!2017年10月から。

 

2017年9月20日、FRBがバランスシート縮小開始の声明を出しました。

 

2017年の10月から12月にかけてはまず手始めに100億ドルという小さな規模で縮小開始です。

⇒前回の記事:【FRB・バランスシート縮小とは。】(2017年春ごろ執筆)

 

2018年からは3か月おきに100億ドルずつ増加をさせてバランスシート縮小ペースを徐々に増やしていくというスタンスのようです。

よって、

2017年10月~12月:毎月100億ドルずつ縮小

2018年1月~3月:毎月200億ドルずつ縮小

2018年4月~6月:毎月300億ドルずつ縮小

2018年7月~9月:毎月400億ドルずつ縮小

2018年10月以降、毎月500億ドルずつ縮小

順調にいけば、これ以後、このペースで縮小を続けていくそうです。

 

とはいっても、これから最初の1年で3000億ドル縮小を実現のみでした。

 

2年目以降は毎年6000億ドルずつ縮小をさせていくようですが、バランスシートの総額は4.5兆ドル規模に膨れているため、途方もない数字です。

 

これから早くても8年かけてバランスシート縮小に臨むことになります。

もちろん、これからさらに8年間、米国経済の腰折れがない限りです。

 

もしリセッションの時期になれば、このバランスシート縮小を一時的に停止する可能性もありますし、再びQEに動くケースもあるかもしれません。

あくまで目安ですが、この規定路線の上でバランスシートの縮小を開始するようです。




■バランスシート縮小でどれだけ金融引き締め効果があるのか?

 

とは言いつつも、これから1年かけて3000億ドルのバランスシートが縮小されるのはわかりましたが、果たしてどれぐらい金融引き締めのインパクトがあるのか皆さんも疑問に思うでしょう。

 

ちょうど先日ウォールストリートジャーナルの有料版にその規模が書かれておりましたのでご紹介します。

 

WSJのコラムで回答をしていたタヌッツォ氏によると、影のFF金利と同じ考え方で逆算した場合、6000億ドルものバランスシート縮小実現=FF金利レート的には76bp(ベーシスポイント)の利上げを行うインパクトがあるようです。

つまり、利上げ3回分ちょうどに値するインパクトです。

 

よって3000億ドルならば、この半分のインパクトがあることになります。

 

2018年9月を終えたころには、これから1年間で利上げ1.5回分の引き締め効果があることになります。

 

さらに2018年10月~12月ですと、500億ドル×3か月分ですから、

 

2018年12月末にはバランスシート縮小が、FF金利に利上げ2回分のインパクトを与えている公算になります。(4500億ドルに到達するため。)

 

また実際の政策金利は、ドットチャートから読み解くと2017年はあと1回利上げが(おそらく12月)、

そして2018年の利上げ回数は3回の予想となっております。

 

っということは、現在の2017年9月下旬から計算をしますと、

 

2018年末までには利上げがあと4回実施されつつ、バランスシート縮小額が4500億ドル(15か月分)約利上げ2回分のインパクトあり、っという計算に至ります。

 

つまり、『これから15か月間で事実上、利上げ6回相当に値する金融の引き締めが行われる』と理解して頂ければ結構でしょう。(2017年10月から2018年12月末までの期間。)

 

ですので、想定利上げ回数以上に、米国の長期金利は大きく上昇をしていくポテンシャルを秘めているわけですね。

 

10年債利回りが3%超えが現実味帯びてくるのではないでしょうか。

米国長期金利上昇の可能性

 

■バランスシート縮小に潜んでいるリスク

 

さて、バランスシート縮小に潜んでいるリスクを考えてみましょう。

 

バランスシート縮小の額の内訳比率は、常に国債6:MBS4となっており、2017年10~12月は国債が60億ドル、MBSが40億ドル。

 

2018年10月以降からは、国債が300億ドル、MBSが200億ドルの合計500億ドルずつ毎月縮小ということになります。

 

MBSはモーゲージ債、いわゆる、住宅ローンの不動産担保融資の債券のことです。

 

少し昔に聞きなれた、嫌な印象がある言葉です。

リーマンショックの火種となったサブプライムローンがこのMBSの一種に含まれます。

つまり、これからMBSの資産売却を行っていくということは、住宅関連の社債や債券が下落してくことを意味します。

 

債券価格の下落=金利の上昇ですから、どこかでバランスを崩すとどうなるか、皆さんならお分かりになるでしょう。

 

債券金利の上昇は、政策金利引き上げ以上に数字で効果を発揮します。

 

例えば金銭的な感覚でいいますと、ある一般家庭の住宅ローン毎月の返済額が例えば7万円で組んでいたのに、7.5万円⇒8万円⇒9万円⇒10.5万円と増加していくイメージです。

 

米国の家主はこういったリスクが向こう数年で控えているわけなのですね。

 

不動産投資を多くしていた投資家は資金返済のペースが追い付かなってくると、家を売り始めます。

売りが売りを呼んで価格が値下がりするので悪循環というわけですね。

 

こういった影響が見えてくるのは2018年後半や2019年以降でしょう。

 

その時、再び世界はリセッションに突入するのかもしれません。

ドル高のリスクオンと借金返済の金利上昇の綱引きが始まったと考えて良いでしょう。

 

これがバランスシート縮小後の影響です。

投資家として警戒をしておかなければならないリスクの一つではないでしょうか。

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